さとやま通信

2017.10.28

【北広島町・みどりのゆびファーム「ピザ窯作りワークショップと麦の収穫祭」】里山という環境に、感謝の気持ちを込めて。収穫祭に向けたDIYのピザ窯が、ついに完成!

photographs & text by Mayumi Sawada

女性陣のおしゃべりは、常ににぎやか

作業に慣れてきて表情にも余裕が。

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道路から見える佐々木邸は、まるでヨーロッパのような雰囲気

中国自動車道の千代田インターからは車で15分、浜田道の大朝インターからも5分程度と交通の便はいいものの、どちらのルートもどんどん人里を離れてゆく雰囲気。「本当にこの道でいいのかな?」と不安になってきた頃、白壁と緑色の屋根が素敵な洋館が目に入った。

ここに間違いない。だって、ピザ窯が似合いそうだもの。

絵本に出てきそうな洋館rev

直感は当たっていた。ここは、2011年からこちらに暮らしているという佐々木拓治さんと睦さんのお宅。家の前に広がる農場は睦さんの大好きな童話から「みどりのゆびファーム」と名付けられ、お二人はここで「できるだけ環境に負荷をかけたくない」と完全無農薬で麦と米を育てている。2012年から家族連れの参加者と続けてきた小麦の収穫祭では、ブロックを積んだ簡易なピザ窯を使ってきたが、今年は本格的な窯でピザを焼こうと、ピザ窯を作るワークショップを開催することになった。

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ピザが引っ掛からんように、平らにせにゃあね。

9月9日の第1回ワークショップでは、ブロックを積んだ土台の上に耐火レンガで薪をくべる焚口を作り、今回はその続き。ドーム型に耐火レンガを積みあげてピザ窯を完成させる、いわばメインイベントだ。

参加したのは、年齢も職業も違う男女各4名、計8名。第1回は23名が集まったというからちょっと寂しい人数ではあるが、かえってそれが良かったかもしれない。手持ち無沙汰の時間もなく、協力したり手分けしたりしながら、みんなでテキパキと作業を進めていく。ほとんどが初対面だったにもかかわらず、絶妙なチームワークだ。

ドーム型にベニア板をカット。木材をコンパス代わりに使います

初めて手にする電動のこぎり「ジグソー」での作業も、お互いに「できるできる!」「大丈夫!」と励ましあいながら、交代して順番に体験。切り出した木材でドームの型枠を作ったら、そこに添わせるように耐火レンガを積み上げてゆく。接着させるのは、耐火モルタル。水を加えると重くなるため、これも交代しながらみんなで混ぜる。

この外側に添うようにレンガを積んでいきます

2段目までできました。素晴らしい出来栄え。

講師をつとめるガーデンデザイナーの曾川仁志さんがまずお手本を見せて、参加者にバトンタッチ。いろいろなコツを伝授してもらったおかげで、2段目が積み終わる頃には参加者たちも熟練した職人のような手つきになってきた。「すごいですね。完成品は見たことがあるけど、まさか自分で作れるとは」「ピザ屋さんに行ったら、窯にも興味がわいてしまいそう」と話す声は興奮気味に弾んでいる。しだいに余裕も生まれてきたのか、あちこちから笑い声も聞こえてくる。

作業に集中していると時間の過ぎるのはあっという間で、15時の終了予定をオーバーして夕方16時過ぎまでワークショップは続いた。

板村早希子さん

「テレビ番組でタレントさんがDIYをしているのを見て、難しそうだけどやってみたいと思っていた」という板村早希子さんは、「広島市から来て体験できて楽しかったです。モルタルの固さや扱いやすさが、水の調整でこんなに違うんだということもわかって、面白かった」と大満足の様子。

新枝奈苗さん

未来博のガイドブックを見て東広島市から参加したという新枝奈苗さんは「冊子がなかったら、ここまで来なかったと思います。催しものの情報が一か所に集まっているので、とても良いですよね。考え方とか価値観とか、温度が近い方々と出会うことができたので、参加して本当によかったです」と、新しく生まれたつながりを喜んだ。

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11月5日の収穫祭は完成した窯を使ってピザを焼き、そのあとに種をまく。ワークショップに参加していない人も、もちろん大歓迎。拓治さんが「麦作りに関わってくれるみんなの窯だと思っているので、ピザを食べに来てほしい」と言えば、「収穫祭からでもぜひ参加して、この場所の気持ちいい空気を感じてもらえたら。麦作りを通して、物事の背景にあるものを想像することにつながればと思っています」と睦さんは優しく微笑む。

道路脇の看板が目印

ウッドデッキに座り、心地よい風に吹かれながらランチタイム

たしかに、この場所の解放感と清浄感は体感する価値がある。ワークショップ開催中も、どんよりした空から時折ポツポツ雨が落ちることもあったが、木々の間を抜けて通る風はさほど湿り気もなく心地よい。敷地の隅に飼われているヤギのメイちゃんののんびりした佇まいにも癒される。

そんな優しい空気の中で、ピザ作りや麦の種まきに参加して、1粒の麦が大きく育ち、収穫されて粉になって、ピザになる……という1年間のドラマに思いを馳せてみてはいかがだろうか。
まさにいま自分が口にした美味なるものの生い立ちにも想像力を働かせて、自然の恵みに感謝する豊かな秋のひとときをすごしてみてほしい。

〈今後の開催予定〉

麦の収穫祭 〜自家製小麦のピザ作りと種まき

日時:11月5日(日)10:00〜15:00
場所:みどりのゆびファーム

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