さとやま通信

2017.10.06

【神石高原町ヒーロープロジェクト(三和小学校)】子どもたちの「ヒーロー」は、大学生と地域の大人! 町の魅力を再発見しながら、自分の生き方を考える授業。

photographs & text by Sayuri Kusama

DSC00554

キーンコーンカーンコーン。神石高原町立三和(さんわ)小学校で、3時間目の授業が始まりました。教室の時間割に書いてあったのは……、「ヒーロー登場」!? いったい何の教科? どんな授業なんでしょう? さとやまレポーターのクサマが、潜入取材してきました!

DSC00370

DSC00403

建築のデザイン賞を受賞した三和小学校の校舎は、下駄箱で靴を脱ぐと目の前は体育館。その周囲に各教室がぐるりと並んでいます。3時間目の前の中休みから、「学生NPO ここつなぎ」主催の“あたらしい授業”はスタート。アイスブレイクで手をつなぎながら自然と盛り上がり、外からやってきたヒーローの4人と、授業をコーディネートする「ここつなぎ」の2人が学校に溶け込み始めます。

チャイムが鳴って、多目的室へ移動。今回の授業は、21人在籍する6年生向けに「総合的な学習の時間」を使って行われました。関東から来た“学生ヒーロー”2人と、一度地元を出た後に町へ戻り活躍する“地元ヒーロー”の2人にインタビューをしよう! というオリジナリティあふれる授業内容。子どもたちは「ヒーロー」に関するストーリーを事前に読み、質問を考えてきた様子です。

DSC00437

DSC00456

地元ヒーローの大元雄太さんには、「先生になるために勉強していたのに、どうして町の役場で働くことになったんですか?」 イギリスや韓国で暮らしたことのある小角萌音さんには、「イギリスの生活はどこが好きでしたか?」 四人四色の人生を送ったヒーローたちのターニングポイントや地元の好きなところについて、子どもたちは目を輝かせながら次々に質問していました。

DSC00477

DSC00496

DSC00518

インタビューの後は、聞いた話を「ヒーローポスター」としてまとめて発表。最後は、ヒーローからの格言タイムもありました。色紙に書かれているのは、生きていくにあたって大切にしてほしいこと。学生の青山知世さんは「周りに流されず、自分の意思で決めることを大事にしてほしい」。東京の大学を出て企業で働いた後、現在は三和で横山百貨店を営む横山寿徳さんは、「外へ出て戻ると、地元のよさにもっと気づく。地元への愛が増します」と話してくれました。

DSC00566

授業が終わって一緒に給食を食べた後は、5時間目の体育の時間。メンバーの矢島遼河さんが元・陸上部ということで、なんとハードルの授業まで一緒に過ごすことになりました! これほどまで学校に溶け込めたのは、「総合的な学習の時間」のパイロット教員・飯干 新先生や神田幸典校長先生らの温かい見守りがあったから。

DSC00562

この授業の企画は、新聞で「ここつなぎ」の活動を見た飯干先生がfacebookですぐに連絡をとったことが始まりでした。「テストの点数だけでなく、学んだことが実生活にもつながるような授業づくりを心がけています。学生や地域の方と話すことは生き方を考える学びになるし、関東の人が自分たちの住む町に興味を持ってくれていることを知れば、町の魅力を見直す経験になるのではないかと思い、授業をお願いしました」と飯干先生。

DSC00360

神田校長先生は「三和小学校では、今年度の教育キーワードを『町を育てる学力』としています。何のために学力をつけるかと言えば、自己実現もそうですが、社会に貢献するためだと考えています。地域の問題を解決したり、社会を変えるアイデアを考えるには、新しい視点が必要。大学生や地域の方と接することで、新しい刺激を得て、まちづくりのエネルギーをもらってほしい」と語ります。

DSC00532

「ここつなぎ」結成時からメンバーである大学生の石塚杏奈さんは、授業が終わった後にこう振り返ってくれました。「広島県事業の『里山ウェーブ』で神石高原町に来た時からこの町の人たちが好きで、町のために何かしたいと思っていました。授業の企画にあたっては、先生たちや役場の方々が私たちの主体性に任せてくれて、信頼してもらえたのがうれしかった。学生でも、町との交流人口を増やせるのではないかと思い、取り組んでいます」。

同じ日には油木小学校でも「ここつなぎ」による授業が行われました。遠く向こうに住む神石高原町のファンが、神石高原町の小さなファンを育てる。キャリア教育とまちづくりが一体となるあたらしい授業が、この町から始まっています。

 

「神石高原町ヒーロープロジェクト(油木小学校)」の開催レポートを読む

「学生NPO ここつなぎ」の公式ホームページを見る

「ひろしま里山ウェーブ」って?