さとやま通信

2017.06.26

【三次市「そだてて手しごと2017 日本の綿を育てる、紡ぐ」】綿と瞑想のふしぎな関係。

photographs & text by Sayaka Okita

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こんにちは、さとやまレポーターの沖田さやかです。三次市で、1年を通して行われるプロジェクト「そだてて手しごと2017 日本の綿を育てる、紡ぐ」。6月の回「(水無月)和綿を間引き、糸を紡ぐ」に行ってきました。

この何の変哲もない畑が今回の会場なのですが、植えられているものは変哲ありまくりのものでした。「和綿」です。現在の日本ではほとんど目にすることはありません。先月まかれた種から芽が出てきていました。よーく見ると、ふかふかっとした白いものが。綿の種です。可愛い。

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さて、はじめの作業は草とりです。広島市や安芸高田市から8人が参加していました。この日は晴天で、気温は30度に達しそうなほど暑かったのですが、みなさん、休まない。黙々と作業に没頭していました。でも確かに、小さな綿の芽を見つけ、周りの草を取り、芽を守るように抜いた草でそっと囲むという一連の作業は、グググッと没頭してしまうのかも。参加者の一人は、「草とりって瞑想みたい。ガンジーが言う糸紡ぎと同じですね」と話します。単なる草取りのはずが、深い…。

実は、イベントを主催した徳岡真紀さんも、『ガンジー・自立の思想 ―自分の手で紡ぐ未来』を読んで、綿に興味を持ったそうです。日本の綿の産業自給率は0パーセント。ファストファッションが蔓延する現在、「自分の服が土から生まれている」という考えは消滅しつつあります。だからこそ、和綿を紡いで糸にして染色するという綿のある里山の暮らしをよみがえらせてみたいと考えられたそうです。日々の農作業で焼けた肌と、繕った服が眩しい。徳岡さんにもう一度会うためにイベントに参加したいと思わせてくれます。

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さて、午後からは手仕事の時間です。スピンドルを使って綿を紡ぎます。このスピンドルも、県北のヒノキから手作りしました。持って帰らせてくれるのが嬉しい! これでいつでも糸を紡げます。

スピンドルと同じく、糸を縒るために使う「糸車」。

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「綿くり機」で種をとりわけ、「綿弓」でほぐした綿は、「篠(しの)」と呼ばれます。これを手作りのスピンドルで「より」をかけて紡いでいくわけです。しかし、力加減が非常に難しい。回し方が強すぎると糸が切れるし、「より」がかからないと、太くて脆い糸になってしまいます。一朝一夕では出来ない糸紡ぎ。かなりの集中力が必要です。またもや、参加者のみなさんが真剣っぷりを発揮。「蟹を食べているとき」と酷似した状況が生まれました。これがガンジーの言う糸紡ぎという名の「瞑想」なのでしょうか。慣れると、ふっと紡げる瞬間がおとずれ、次第におしゃべりに花が咲いていました。綿を持った左手に力を入れないのがコツのようです。

参加者の一人、普段は幼稚園で働いている関口道彦さんは「想像以上に難しかったけれど、昔の人にとって糸を紡ぐことは、農閑期のたしなみだったんだなと思いを馳せました。綿をコントロールするのではなくて、対話して自然に任せるとうまく紡げるのがわかりました」と話していました。

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深い深い、綿のお話。このイベントを通して紡ぐのは、「里山のいとなみ」という糸かもしれません。ちょっと瞑想しすぎちゃったかしら。

 

「そだてて手しごと2017 日本の綿を育てる、紡ぐ」

〈今後の開催予定〉

7月2日(日) 野良仕事・手仕事(草刈り、間引き、和綿でクラフト)

8月11日(金祝) 野良仕事(摘芯、草刈り、和綿でクラフト)

10月 綿(綿を摘む、糸紡ぎ)

11月 綿(綿を積む、草木染め)

12月 綿(種をとる、布を織る)

(要申込・要参加費)

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